ユーコさん勝手におしゃべり

10月22日
 晴天である。昨日の天気予報は圧巻だった。全47都道府県に晴れマークがついた。二ヶ月ぶりのことだそうだ。
 今年は、世界中がどこか不穏なところに向かっているのではないかと不安になるような天変地異の年だった。
 そんな気分をパッと吹き飛ばすような青い空だ。所用で車に乗ってゲートブリッジを渡ったら、白い雪をかぶった富士山がくっきりと見えた。
 二日続けて、今日も晴天。気温も上って、陽を浴びた背中があったかい。今朝は、堀切菖蒲園へ散歩に行った。
 花壇には秋の桔梗の花とともに、春に咲くマンサクとツツジがいくつか見えた。冷え込みの後、また暖かくなったせいだろう。
 うちの飼い亀も、もうエサを食べなくなって家に入れたけど、この暖かさでまたゴソゴソ動き出した。家の中を散策して、またエサまで食べている。
 植物も返り咲きするくらいだから、カメだって然りだ。
 もう少し小春日和を楽しみたい10月下旬である。

10月15日
 朝晩、どころか昼間も肌寒さを感じるようになり、季節は秋に移った。
だんだん食の細くなった飼い亀は、10月に入ってポツっと真夏日になった7日に2、3個のあさりのむき身を食べたのを最後に、何も食べなくなった。冬眠の2ヶ月くらい前から食欲というものがふっつりなくなるらしい。
 猛暑の夏にはりきって3度も産卵した彼女の、充実の時がおわった。
 気温が下がれば眠る時間が長くなる。店主は
 「寒そうだから、家に入れてあげようよ」 という。私は、
 「寒くなれば寝るだけだから外でいいよ。もう何も食べないんだし、眠ってた方がカメも楽なんじゃない」 という。
 「でも…家でもうちょっとカメと遊びたいんだ」 と本音をもらす店主に負けた。
 夏中 外にいたのに、カメは家の間取りを忘れておらず、自分の居場所をとっとと見つけて陣取った。
 食べること以外の活動はまだ普通にしている。もっと冷え込みがきつくなって動かなくなったら、外の冬眠バケツに移す。それまでに冬眠ふとん用の落ち葉を集めに出かけなければ。
 カメを家に入れた後、小庭の掃除をしていると、何人もの人に、「カメさんはどうしました?」と聞かれた。店主が、カメのいたところに、「カメは冬眠しました。また来年3月ごろ出てきます」 と貼り紙をした。
 家に入っても、脇の道から時折、
 「冬眠したんだって。」 「あら、冬眠したの。」 という会話が聞こえてくる。それを聞いて店主は、
 「カメは友だち多いからな」 と言いながら、カメのお気に入りのラグの隣りに横になり、もぐりこんでいるひざ掛け毛布をめくる。知らん顔で眠っているカメに、店主は何くれとなく話しかけ、カメが水道の方に歩いていくと、桶に水を汲んで水浴させる。冬眠前、カメとのひとときの逢瀬を楽しんでいるようである。

10月12日
 昨晩、寝室で本を読んでいたら、たまたま校庭の場面があり、「雲梯」がでてきた。
 うんてい…雲の梯、だったんだ。 運動場にあるので、「うん」は「運」だとばかり思っていた。
 小学校1年生の時、うんていができない私に、父が校庭で教えてくれた。父が会社から早く帰った日の夕方、がんばったのに結局渡りきれなかった憎らしいうんてい。
 きらいだったはずなのに、あれは「雲のはしご」だと知って、見方が変わった。
 腕力のない私に無理やり運動をさせる道具ではなく、雲を渡る器械だったのか。大人になって、今ならできるようになったうんてい。今度、公園で遊んでみようと思いながら眠りについた。
 今朝、さっそく辞書で「うんてい」を引いて、もとは中国で城攻めの為の兵器だったと知る。そして、「それなら苦手でもいいや」と思う「雲のはしご」だった。

9月のユーコさん勝手におしゃべり
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