ユーコさん勝手におしゃべり

6月5日
 6月は鳥ではじまった。2日の朝、堀切菖蒲園駅ガード下のつばめが巣立っていった。
 1日に郵便局へ行く時 見上げると、今までヒナがひしめいていた巣の真ん中に、親鳥が胸を張って仁王立ちしていた。下で何かの取材クルーがカメラを向けていたので、その時は巣を守っているのかなと思ったけれど、飛び立つヒナを監督していたのだ。
 2日以降は、何度見上げても巣はもぬけのカラである。荒川土手で盛んに飛び交っている仲間たちと合流したのだろう。
 そしてつばめの巣立ちの同日の朝、店の3階の窓の外で、チッキョチキョと可愛い声がするので、そっと窓を開けてみた。店の前の道路を挟んで 真ん前にある電柱の6600Vと書かれた変圧器の下のパイプに雀が一羽入っていった。しばらくして出てくると、ひと鳴きしてまた別の一羽が中へ。今年はここで営巣するらしく、朝の楽しみが増えた。
 また、先日、荒川土手際の公園の大きな樹の下を、椋鳥のヒナが歩いていた。黄色いくちばしに黒白のくっきりした柄を持つ鳥だが、ヒナは色が全体にあいまいなので、それとわかる。所在無げに立ち止まっているヒナのそばに親鳥が降り立ち、地面をついばんでは口移しにエサを与える。周りを歩いて地面をついばむ親鳥に、ヒナはぴたりとついて歩く。時々、「ください。ください」と親のくちばしをつつくが、親だって そう楽々と一回分のエサが収穫できるわけではない。そのうちヒナも親の真似をして地面をつついてみている。
 親鳥が行ってしまうと、バタバタっと羽ばたいて真上の木の枝にとまった。この樹上が、一人立ち直前、まだ遠くへは飛べないヒナの安全地帯なのだろう。
 土手でも公園でも天敵がなく、人々も優しいので、鳥たちは年々数も増え、警戒心も薄らいでいる気がする。
 今週の極めつけは、都立水元公園のアオサギだ。
 菖蒲も見頃となったろうと、店主と水元公園の菖蒲田へ自転車に乗っていった。昼までには帰って店を開けるので、早めの昼食をもって朝のうちに出かける。
 菖蒲田の前のベンチに腰掛けると、目の横に大きなアオサギが歩いていた。カメラを構えても逃げるでもなく自分の狩りに専心している。ゆっくり歩いて菖蒲田の端の用水路のところまで来る。私のすぐ目の前で、「お写真どうぞ」というように立ち止まった。水の一点にロックオンした次の瞬間、見事にどじょうをくわえていた。バタバタするどじょうをくわえたまま菖蒲の花の中へ戻り、ゆっくり上を向き慎重に飲み込む。なかなか入ってゆかないのか、天を仰いで喉を揺さぶり 大きく2度口を開けた。その様子を静かにデジカメに収める。
 よく釣り人のおじさんの釣果をもらっている姿を見かけていたが、自分の狩りの最中にカメラを向けられても、水元のアオサギはまったく動じないのだった。
 そのあと、木陰のベンチに移り お弁当を食べていると、私たちのすぐ横にとめた自転車のタイヤの上に雀がとまった。「こんにちは」とあいさつに来たようだった。店主が、食べ終えたお弁当箱にのこったご飯粒をタイヤの上にのせてみたが、ベンチの上に茂った枝に飛んだ雀は もう降りてはこなかった。
 ものみな育つ季節、うちの店横でも、今までおいしく食事をしていた飼いカメに、エサを食べない日がでてきた。上野動物園のパンダも、「食欲不振で妊娠の可能性」だそうで、配偶者のいないうちのカメは、妊娠はしないけれど、今年も産卵するらしい。たまごを産む場所を探しているのか、配偶者を探しているのか、落ち着かない。
 例年通り、黒土のどろんこを水槽に入れたら、たいそう喜んで、出たり入ったりして体中どろんこになって小庭を歩き回っている。
 梅雨入り前のひととき、小さな生き物を見物しては、その変化と遊んでいる。

5月のユーコさん勝手におしゃべり
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