ユーコさん勝手におしゃべり

11月14日
 11月がはじまってちょうど一週間がたった日、千葉鴨川を旅行した。 風が強くて、海上を行くアクアラインは通行止めだったので、陸路の京葉道路で千葉外房へ向かった。
 ふりかえると、あの強風が季節を分ける風だった。風ひとつで、秋を蹴っ飛ばして、夏から冬へと一足飛びに暦はめくれた。秋は…、これから落ち葉をかき分け、耳をすませて、捜すしかなかろう。
 とにかく、旅の初日は夏だった。朝にザーッと雨が降り、強風で海は白波が立っている。サーフィンする人も見かけなかったが、雨上がりの陽ざしは強く、オーシャンビューのホテルの部屋にはクーラーがかかっていた。
 1日目は温泉に浸かり、窓からの景色とご馳走を楽しむだけで暮れていった。
 2日目、窓越しに海からの日の出を堪能し、朝風呂に浸かる。昨日の余韻で波があり、海にはサーファーが何人も漂っているのがみえる。
 鴨川市内の四方木不動滝を目指してハイキングに出た。上着いらずの好天で、滝への遊歩道には、さまざまな花が咲いている。昨日の風で落ちた杉の枝を踏みしめて歩いていると、水の音が聞こえはじめ、四方木不動滝があらわれた。
 滝つぼへと階段をくだる。水は澄み、魚が泳いでいるのがよく見える。平日のこととて人の姿はほとんどなく、青空と森に囲まれて、鳥の声と滝の落ちる音だけが響いている。
 心身洗われる気分で、遊歩道を駐車場まで戻り、亀山湖へ向かう。湖畔では、菊花まつりが開かれていた。地元の方が丹精込めた菊たちが、二張りのテントの下に並んでいる。各賞の紙札の貼られた鉢の上で誇らしげに顔をあげ、陽に輝いていた。
 かすかに色づきはじめた森の木々を眺めながら車を走らせ、アクアラインを通って帰路についた。
 おだやかな晴天で、「夏の終わり」を感じる旅だった。
 翌日は二日の間にたまった仕事をせっせとこなしているうちに過ぎ、あくる11日、朝起きるといきなり晩秋だった。上着はもちろん、自転車で買い物に出るには手袋が欲しい。
 実はこれが平年並み、と言われても、同じ週に夏日があったのだから、身体にこたえる。
 12日に、今年最後の大相撲本場所がはじまった。熱戦を期待する。
 そうして13日、木枯し一号が吹いたと天気予報のキャスターが告げていた。塗装工事中の隣家のビニールシートがバタバタと風の音をたてていたのは、木枯らしの報せだったのかと納得した。
 飼いカメは、寒い日は家の中で飽きもせずひたすら眠り、陽ざしの暖かい日は外で冬眠前のひとときを道行く人と交歓している。
 今日は、水元公園へ冬眠布団用の落葉を拾いに行くつもりである。
 人間も寝室の布団を入れ替えた。カメにも冬ごもりの仕度を始めよう。

11月5日
 7月の様な11月、小春日和というには暑すぎる今秋である。
 空は高く連日よく晴れていて、何をしても気持ちがいい。でも、いったい今が何月なのか、よく考えないとわからない。 街中は、半袖の人、長袖シャツを腕まくりの人が歩いている。
 飼いカメは、例年通り10月になってから自主的断食に入って、エサをねだらなくなった。でもこのあたたかさで、冬眠に向かっている感じは全然しない。荒川土手に散歩に連れて行くと、元気よく歩き回っている。お腹はすかないのかな、と不思議な気がする。そういえば、土手にはヒマワリの花が咲いていた。
 一雨ごとに気温は下がってゆくと天気予報は言っているけれど、カレンダーと体感季節との差が縮まる気のしない「霜月」のはじまりである。

10月のユーコさん勝手におしゃべり
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